中文熟考

中日翻訳者が綴る日々の記録

ブックレビュー

「台北プライベートアイ」を読んだら、もっと台北が好きになった。

巷子がミラーディメンション(Ⓒドクターストレンジ)のような表紙 さて今年読んだ中華ミステリーの2冊目。正直私はこっちが断然好みだった。ハードボイルドな探偵なんてベタだけど、台北のバイクの排気が漂ってくるような文章がめちゃくちゃよかった。 話題を…

「辨髪のシャーロック・ホームズ」は次作以降に期待。

最近は中国語の小説が豊作で、翻訳版も注目を浴びている。特に昨年の「台北プライベートアイ」と今年出版された「辮髪のシャーロック・ホームズ」(どちらも文芸春秋)は、ミステリー好きなら理屈抜きで楽しめる2冊だ。舩山むつみさんの翻訳も本当に素晴ら…

「赤毛のアン」と女性たちの葛藤

編集者時代から1日数ページでも何か読んでいないと落ち着かない。 忙しい時期もだいたい本2~3冊を並行して読んでいて、ミステリ小説や人物伝が多い。 台湾に住んでいたときは、台北中心部でしか日本の新刊を買えなかったので、 Kindle paperwhiteを購入…

幸せはすぐそばに。喫茶「各駅停車」の旅

横浜方面から都内への通勤が続いている。 都内の私鉄や地下鉄への直通電車も増えて、 特急に乗れば小一時間で着く距離なのだが、この小一時間が退屈だ。 混みあった車内では文庫本を開くのも不便で、 最近はスマホを見るのにもすっかり飽きてしまった。 この…

疲れた夜に癒される「クッキングパパ」の魅力

クッキングパパ うえやまとち 講談社 なんとなく疲れた時、手に取るマンガってありませんか。 私の場合、そういう時は「クッキングパパ」一択です。 読んだことがない人に一言で説明すると、荒岩一味という料理好きのサラリーマンが、人生のすべてを料理で解…

天才ロシア語通訳者の傑作をご紹介

東北魂義援金に寄付し、子供のコロナワクチン接種に悩み、 ネットでウクライナの状況を見つめた2022年の3月11日が過ぎて… やはり米原万里さんが生きていたら…と思わずにいられません。 不実な美女か貞淑な醜女か 米原万里(新潮文庫) NEWS23で見るコメンテー…

生きづらさの達人から学ぼう

ちょっと前ですが、似たようなタイトルのタレント本が、 似たような時期に出て気になっていたので、読み比べてみました。 「世間とズレちゃうのはしょうがない」養老孟司・伊集院光 PHP研究所 「世の中と足並みが揃わない」ふかわりょう 新潮社 タレント本と…

「田中裕二の野球部 オフィシャルブック」に癒される。

ご無沙汰しています。すっかり更新が滞ってしまいました。ありがたいことに夏前はガイドブックの仕事が重なり、忙しくしています。ベイスターズが早々に最下位となりテンションもなかなか上がらず。最近私の心の支えとなっているのは、JUNK、今永、そしてこ…

12球団ファンクラブ本とアンチ断捨離

台湾が常夏だなんて誰が言ったんだ。基本的に夏の暑さしか想定していない家の造り。基本暖房がないという思い切りの良さ。素直で楽天的な台湾が好きで嫁にまで来た私ですが、さすがに「寒い時はいっぱい着ればよい」という単純すぎるリスク管理に憤りすら感…