ちょっと前ですが、似たようなタイトルのタレント本が、
似たような時期に出て気になっていたので、読み比べてみました。
「世間とズレちゃうのはしょうがない」養老孟司・伊集院光 PHP研究所
「世の中と足並みが揃わない」ふかわりょう 新潮社
タレント本という言葉も最近はしっくりきませんね。
又吉先生に限らず、芸人さん(主にネタを書く方)の文才は
本職の人を凌駕していることも多いですもんね。
確立されたふかわワールドを楽しむ一冊
ふかわりょうっていい意味で、ずっと変わってないんだな、
とこの本読んで思いました。
「お前んち、天井低くない?」は世間と足並みがきれいに揃っていては
生まれないフレーズなので、この人の世界観は確立されているんですよね。
ヘアバンド時代からふかわを好きな人は、結局ずっと好きなんだと思います。
あとがきまでしっかり読んでしまった私のような読者が、
「勝手に溺れてろ!」と笑顔で突っ込めるところまで、ふかわワールド全開です。
YouTubeで久しぶりに、あるいははじめて「小心者克服講座」を見て、
吹いてしまった人はぜひ読んでください。きっと楽しめます。
白伊集院も、黒伊集院も、とことん真面目
博識で愛妻家が売りの「テレビの伊集院さん」と、
こじらせの権化のような「ラジオの帝王」。
その二面性を本人もネタにしているけれど、
私のように10代からラジオを聞いている者にとっては、
理詰めでモヤモヤに立ち向かう戦士、それが伊集院光なのです。
その人を「大変な努力家」と評する養老先生との対談ですから、
面白くないわけがない。1日で読めてしまうのですが、
一つのテーマを掘り下げようとすると終わってしまう感じが残念でした。
どうしてこんなに薄い本にまとめちゃったのかなぁ。
みんなひっそり闘っている
似たようなタイトルでしたが、結局のところどっちの本も人たちも、
世間に合わせようとはしていません。
譲れないところは譲らず、進化しすぎることもなく、
じっとしたり、もがいたり、変わらない、変われない自分でいい。
この方たちは生きづらさが芸や学問の行に達している言わば達人ですので、その極意に触れ心強くなる2冊でした。