中文熟考

中日翻訳者が綴る日々の記録

天才ロシア語通訳者の傑作をご紹介

東北魂義援金に寄付し、子供のコロナワクチン接種に悩み、

ネットでウクライナの状況を見つめた2022年の3月11日が過ぎて…

やはり米原万里さんが生きていたら…と思わずにいられません。

不実な美女か貞淑な醜女か 米原万里(新潮文庫)

NEWS23で見るコメンテーターとしての

彼女がカッコよくて、子供心に好きでした。

元々は通訳の人だと知って、当時の映像にもシビれたし、

ソビエト学校時代の同級生を訪ねるドキュメンタリーで、

ますますファンになりました。

友人を訪ねた時の表情がとても魅力的で

感受性の強い内面を物語っていたんです。

通訳だけでは収まりきらなかった彼女の知性と才能は、

今でも日本の財産だと思います。

通訳時代の話をまとめたこのエッセイは、

彼女の鋭い感性を張り巡らせた言葉に対する考察で、

翻訳家を目指す自分にとってはバイブルです。

 

彼女の小説「オリガ・モリソヴナの反語法」も素晴らしいの一言。

スターリン時代を生き抜いた女性たちの物語で、

今こそ読み返されるべき傑作だと思います。