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中日翻訳者が綴る日々の記録

サレ妻と間女の友情? 中国ドラマ「好事成双」にハマる

中国ドラマ「好事成双」にハマっています。SNSで中国の方がオススメしていたので見始めたのですが、止まらなくなってしまいました。

 

中国ドラマ「好事成双」

 主演は先日このブログにも感想を書いた「こんにちは 私のお母さん」で主人公の母親役を演じた張小斐です。この人の知的な目つきと笑顔には魅せられてしまうなぁ。

 

あらすじ 

張小斐が演じる林双(リン・シュアン)は夫の浮気相手の江喜(ジャン・シー)を呼び出し、「有利に離婚したいから自分に協力してほしい」と持ちかけます。英語のサブタイトル「alliance(同盟)」は冒頭で早々に回収。あくまで本妻を敵視する江喜が果たして同盟を結ぶのか…彼女の返事を待つ間、林双が浮気に気づいた悪夢の1日から今日までの回想が始まります。誰もが羨むセレブ妻だった林双は、ある日夫の洗濯物からネイルのチップを発見し…。

 

感想

 サレ妻なのに、やけに冷静だな…と思うのですが、それもそのはず。学生時代の林双は常に成績トップのIT女子だったのです。結婚出産を機に家庭に入ったとはいえ、すこぶる頭がいいので、口先だけの夫にとっとと愛想を尽かしてしまいます。

 ですが、いざ社会復帰を試みると、移り変わりの早い分野だけに、ブランクが大きな足かせになっていると気づきます。

 

 そこで娘の養育権を得るためにとった苦肉の策が、「不倫相手と協力して夫からお金を引き出す」だったのです。

 

 ここから隠れハイスペック妻の復讐劇が始まるのかと思いきや、物語は不倫相手である江喜のバックボーンを描いていきます。江喜は優等生の林双とは好対照な、農村出身の苦労人。ニートの弟を抱えて実家に仕送りまでしながら、なんとか都会で身を立てようと必死でもがいているのです。そんな女子の野心に、うまくつけ込んでハートをつかんだのが、上司である林双の夫なのでした。

 

 夫の卫明のクズっぷりも見事です。女性の頑張りに対して理解を示し、応援するよと囁きながら、ジワジワと翼をもいでいく。心の底では誰よりも自分をバカにしている男に、なぜ次々と優秀な美女たちが騙されてしまうのか。。ある意味スゴ腕のテクニックを堪能できます。

 

 このドラマのいいところは、林双のベクトルが夫や不倫相手への復讐というところに向かわず、あくまでも「本来の自分を取り戻す」ことに集中していること。林双の潔い生き様は、江喜の素朴な野心と根性に共鳴し、2人の間には女同士の友情が芽生え始めます。

 

 もはやクズ夫は眼中になく、2人の視線の先には、「真に自分らしい生き方」という新たな目標が見えてくるのです。

 

 大学時代に林双のライバルだった秀才で、いまやIT業界の寵児としてもてはやされている顧許(グー・シュー)役にホアン・シャオミン。フード付きパーカーにジーンズ(これが中国のIT寵児のイメージなのだろうか?)というカジュアルスタイルが似合わないのが若干残念ですが、林双の「真のパートナー」にピッタリのツンデレキャラです。

 

 16話では、前を向く2人の女性に逆行するかのように、夫が性懲りも無く次のターゲットを口説き始め、ちょっとシナリオに強引さが見えてきました。サレ妻と間女として出会った2人に友情が芽生え、お互いに自分の道を見つけるところで終わればよかったような気も…。

 

 ここからは、自分のことを棚に上げまくった夫が林双の自立を妨害してきそうなので、顧許がどう助けていくのかが見どころですかね。第2の江喜は社長の娘らしいので、あとあと林双側について大活躍してくれそうな予感も。痛快な後半戦を期待して、見続けようと思います。