新年あけましておめでとうございます。
年末年始も台湾だったので、お正月番組は紅白と「中居正広のプロ野球魂」だけなんとか見ました。仮想ドラフト今年も面白かったですね。ダルビッシュとギータが3チーム競合になったり、筒香が指名された時は叫んでしまった。金子千尋と平田良介の対照的なキャラも見事でしたよね。2人が対戦する時にはみんながカーブを待つ2016年。ボヤボヤしてたら来年はWBCですね。そんなわけで今年もよろしくお願いいたします。
今回は台湾の500元札について。
台湾の紙幣に野球少年が描かれている、ということをご存知の方はどれくらいいらっしゃるんでしょうか。2013年のWBCで侍ジャパンが台湾代表と対戦した時、台湾における野球がどれほど身近なスポーツか、というわかりやすい例として日本のメディアでもちょこちょこ紹介されていたように記憶しています。
ただ、ここに描かれている少年たちがどこの誰なのか、台湾人でも誤解している人が多いんです。台湾野球史上もっとも有名な少年野球チーム「紅葉少棒隊」か、リトルリーグの世界大会で優勝した「金龍少棒隊」だろう、と思っている人がほとんどです。かくいう私もつい最近までそうでした。
彼らの正体を明かす前に、2つの有名な少年野球チームについておさらいしましょう。
台湾、野球といえば、映画「KANO」が1931年の嘉義農林高校甲子園準優勝を描くまでは、長らく「紅葉少棒隊」が歴史上最初の栄光として語られてきました。1968年、台湾少年野球大会チャンピオンだった台東の紅葉隊がリトルリーグ世界一の日本少年野球チームを招待して親善試合を行い、7-0の完封勝利を挙げたというものです。よくよく考えると親善試合だし、日本の少年たちは完全アウェーだし、という試合なのですが、当時はテレビ実況もされて台湾全土が熱狂したといいます。
台湾の少年野球は世界レベルだぞ、行けるぞ、と盛り上がっていたその翌年の1969年に、紅葉隊のメンバーを中心にしたリトルリーグの台湾代表チーム「金龍少棒隊」が本当に世界一になったんですから、それは大騒ぎだったでしょう。ちなみにこの時の「金龍少棒隊」メンバーには、中日ドラゴンズで活躍した台湾のレジェンド・郭源治さんも選ばれていて、活躍しています。
500元札に話を戻しましょう。
絵柄についての説明は「少棒主題(テーマ少年野球)」とされ、大っぴらにモデルは公表されて来なかったようです。台湾における少年野球栄光の歴史を表しているので、広い意味で言えば「紅葉少棒隊」であり、「金龍少棒隊」であると言えなくもない。でも画家が描いた架空のチームというわけではなく、ちゃんとモデルがいるんです。
その正体は花蓮の南王小学校で組まれた南王少棒隊。1998年に「關懷盃少棒錦標賽」という少年野球大会で優勝した時の様子、ということまで明らかになっています。なぜこのチームが選ばれたのか、今回調べた限りではわかりませんでした。絵的によかった、というのが有力だと思われますが、引き続き調査していきたいと思います。
それより何より1998年に小学生ってことは、今もまだ20代ではないですか!
そうなんです。この絵柄は遥か昔の1ページで、今ではすっかり現役を退き、それぞれ年を重ねているであろうと思われた紙幣の少年たち。実は彼ら、バリバリの現役選手だったのです!しかもそのうちの1人は先日のプレミア12台湾代表にもメンバー入りしたプロ野球選手だなんて、誰が想像できるでしょう。
そのプロ野球選手というのがこの方、統一7-ELEVENライオンズの内野手、林志祥選手。蘋果日報という地元紙で、ちゃんと取材されていました。500元札を持って、「このプロテクターつけてるキャッチャーが僕ですよ」と言っています。