息子が旅行でいなかったので、評判のいい日台合作映画を見に映画館へ。あんなに泣いたのは「永遠の0」以来です。
ふらりと出かけた映画で余韻に浸る、かなり幸せな黄金週間となりました。
あらすじ
仕事を失った36歳のジミー(シュー・グァンハン)は、失意のまま台湾南部の実家へ戻る。自室で一枚の絵はがきを見るジミーの胸には、日本人バックパッカーの“あみ(清原果耶)”と過ごしたひと夏の思い出が鮮やかに蘇ってくるのだった。最後の出張で東京を訪れることになったジミーは、あみの故郷・福島県を目指し、北へ向かって一人旅に出る。
感想
合作映画、シンプルな恋愛映画というと、ともすれば観光PR動画のようになりそうだけど、夏の台湾南部、冬の日本北部、というそれぞれのらしさが出た自然な描写がよかったです。たぶん合作映画って言葉が通じない俳優さん同士の距離がけっこうあるので、関係が深まらないほうが画面上でも違和感がないのかもしれません。
鈍行列車に揺られるジミーの前を、旅人や地元の人たちが過ぎ去って行くように、旅も恋も、いつしか傍にいる人が入れ替わり、自分の景色も変わっていく。切れてしまったと思っていた縁が、ふとした瞬間によみがえり、今日の自分を支えてくれたりもするから、やはり人生は出会いだなと、月並みなことを痛感したりしました。
上映中なのでこのくらいにしておきますが、主演2人の澄んだ瞳がとてもいいです。「時をかける愛」のシュー・グァンハンは、仕草や表情に18歳のウブな雰囲気がちゃんと出ていてすごかった。体型はさすがにオトナの男すぎたけど…。
日本の豪華な俳優陣の中でも、よかったのは黒木華さん。熱血編集者とか、カタブツ裁判官より、ちょっとスレた女性のほうがずっと似合うんだなと思いました。ともすれば大げさになりがちなランタンのシーンに控えめな感動が生まれて、すごくよかった。劇中に出てくる岩井俊二の「ラブレター」も効果的で、また見たくなりました。
静かな作品だけに、スクリーンで見ると何気ないやり取りの息づかいや、高鳴る心臓の音まで聞こえてきそうで、映画館で見てホントよかったです。