中文熟考

中日翻訳者が綴る日々の記録

東京、北京、上海、それぞれの「女子図鑑」

Amazon製作のドラマ「東京女子図鑑」ってちょっと話題になりましたよね。

秋田から上京してきた野心家の女子が、東京で幸せを求めて成り上がっていく。

仕事、結婚、出産、何が女の幸せなのか?

家柄、出身地、スペック、もともと足りない女に幸せはないのか?

主演の水川あさみさんが華麗にあか抜けていく姿がワクワクさせてくれるし、

こういう価値観の中でもがいている女性は多いんだろうなとリアリティを

感じさせてくれる作品です。

けど私はあんまり共感しませんでした。時代が違うのかな。

20年前、東京で必死に働いて、それなりに恋愛もしたのになぜ?

好きになったら一直線、仕事の報酬も男性の年収も度外視だったので、

今となってはもう少し利口になってもよかったのでは…と思う時があります。

そしてこの歳になっても、翻訳という一生勉強みたいな仕事を

やりたいと思ってるんだから、人間そうそう変われないものです。

この「東京女子図鑑」に北京版上海版があって、

どちらもAmazonプライムで配信されてたので見比べてみました。

北京は地方出身者に厳しい

見比べてみると、東京女子は自由度が高いですね。

北京は法律が地方からの出身者に制限を与えているし、

上海でも最初から一人暮らしなんて難しくて他人とシェアしてる。

彼氏の母親が、結婚相手に地方の人はちょっと…なんて言ってる。

不動産価格が尋常じゃなく、よそ者は矢沢並みに成り上がらないと

マンションも買えない。街全体に高い敷居があります。

そして一人っ子政策と「血」を重んじる文化のせいか、親が重いです…。

男性遍歴の多さは人口のなせる業?

平凡で家庭的な女性を求める優しい男では満足できないという点は

共通していますが、ストーリーは北京版の方が本家に沿っていたかな。

いろいろ失って身の程を知った後に、自分に見合った幸せを一から探しつつ、

また上を見て失敗しそうな予感も少しはらんで終わるところも共通してます。

上海女子はオシャレで誠実

主人公が小池栄子に見えて仕方ない

上海版はキャリアが上がっていくにつれ女子の魅力もうなぎのぼりです。

まず主人公が、上昇志向が強いだけじゃない、だいぶ誠実な人柄に描かれてます。

最後は主人公に本気で惚れちゃった大富豪のおじさんと

自分を理解してくれて本人も魅力的な等身大のイケメン

という何回生まれ変わったらそんな人に見初められるの!という

激レア物件2人の間で悩みます。これはどっち選んでも正解なのでは…。

演出は東京版が見やすかった

本家東京版は、主人公が男ではなく住む街とともに変わっていく感じが

よかったので、中国版もぜひやってほしかった。

特に北京は広いので、エリアごとの違いを見せてほしかったなと思います。

それでも見比べることで、3都市の違いが浮き彫りになる貴重な作品でした。