ライター活動を再開します、と宣言してからはや1か月。
ダウンタウンを見に行ったり、ディズニーランドに行ったり、
あとは主に病院を回っていて、実はあまり活動していません。
家のことが忙しいというのも理由のひとつではありますが、
ライター活動を始めるにあたって肝に銘じていることがあるのです。
個人的にこれだけは守ろうという40代ライターの鉄則のようなもの。
なんでもかんでも引き受けない
細かく分けるとこうなります。
①量より質を意識する
②品質保持のために時間を作る
③身体を労りながら働く
これがライターをやっていく上で何より大切な3か条であり、
なんでもかんでも引き受けていては、実践できないのです。
①量より質を意識する
記事の内容はもちろん、仕事そのものも質を意識します。
今では無名ライターの主戦場はWeb媒体が中心です。
メールだけでやり取りすることも多いですし、
今は面接もリモートで担当者さんに直接会えないことも多いので、
原稿料はもちろん、条件をしっかり把握することが大事だと思います。
たとえばWeb記事の匿名性が問題になることがありますが、
ライター側が匿名を希望しているのではなく、
執筆したことを伏せるように言われることもあります。
このあたりは1人ひとりの価値観によると思うのですが、
私は公表することで自分の記事に責任を持ちたいし、
できればこれまで書いた記事に興味を持ってくれた方と
仕事ができればお互いに幸せだと思っています。
もちろん質のいい仕事を受けるためには、
記事や翻訳の質を磨くことが大切です。
私自身が編集者だった経験から言えることなのですが、
編集者さんにとってライターは自分の雑誌を作るための手駒であり、
①(原稿料が)安い②(納品が)早い③(文章が)うまい、
牛丼屋のようなライターを一番頼りにしています。
年齢が上がるにしたがって①②には限界が来るので、
③を磨く努力を絶え間なく続けるしかないわけです。
②品質保持のために時間を作る
いくらたくさんの仕事をこなせても、
1つひとつがやっつけ仕事になってしまっては本末転倒です。
ライティングや翻訳は実際に書く時間よりも、
調べたり、調べたことをまとめるために膨大な時間を使います。
原稿を書いた後もできる限りクオリティを高めるために、
時間を置いて見直し、言い回しや誤字脱字をチェックします。
一定レベルのいい記事を書くためには時間がかかるし、
日々インプットの時間を作ることも重要。
だからこそ、仕事を質で選んでいく必要があるのです。
芥川龍之介が小説『羅生門』のラストを書き換えた話は有名ですが、
あの天才文豪だって、時間を置いて読んでみたら、
もっといいオチあるやん!となったのです。
文学作品ほどのクオリティは求められていないにしても、
「こう表現した方がわかりやすいのではないか」
「こっちの言い方の方が読者に響くのではないか」という問いは、
文章を書く以上ずっとつきまとってきます。
納品直前に目にした本や記事から、最高の締め言葉が浮かぶこともあります。
常にインプットを怠らず、できるかぎり時間をかけて文章を書くためには、
ある程度時間の余裕が必要になってくるわけです。
③身体を大事にする
私が日本で編集者としてバリバリ働いていたのも、
気づけば15年前で、業界も大きく様変わりしました。
11年の子育て期間中はほとんど台湾にいたので、
帰国した時は社会の中心が一回り年下の世代に交代していました。
そして自分が氷河期世代よりもっと失礼な、貧乏くじ世代と呼ばれていることを知りました。
だいたい子育てと介護に追われる40代くらいが、どの時代でも貧乏くじ味ありますけどね。
でも消費社会のターゲットど真ん中から外れるのは悪いことばかりではありません。
表舞台に担ぎ上げられている時は、無理をしてしまいがちです。
30代の頃は、人気観光地の台湾に住んでいることで、
営業しなくても次から次へと仕事が舞い込んできました。
できる限り引き受けていたので、当然のごとく締め切りが重なると地獄の忙しさ。
子供が風邪でも引いたらすぐに詰んでしまうギリギリのスケジュール設定は
子育て中のフリーランスの方なら1度は経験したことがあるでしょう。
ですが駆け出しの頃だとしても、たとえ生活がかかっていても、
無理をして身体を壊したら仕事そのものができなくなります。
ヒマだと不安になる病のフリーランスは、どうしてもこの基本を忘れがち。
まあ忘れたとしても20代、30代と無理したツケは必ず回ってきますので、
年齢を重ねれば嫌でも自分を労りながら働く必要に迫られます。
そんなわけで私はいま病院巡りをして、検査や治療をしているわけです。
お金や名声はもちろんのこと、自己実現よりも、
知識や経験よりも、一番大切なのは健康です。
食べ物、運動、睡眠など基本中の基本を守るためには、
自分専用の保健室(身体)と相談しながら仕事を受けていくことが何より重要です。
まとめ
会社員よりも評価が収入に直結するため、つい無理をしてしまいがちですが、
残念ながらすべてのクライアントさんに義理堅さを発揮すると、
最終的に自分の首が締まるし、編集者さんの期待にも応えられなくなります。
むしろフリーランスの方が自分を大切にする必要がある、ということを
自戒を込めて皆さんにもお伝えしたいと思いました。
女性はホルモンの変動もあるし、子育て中だと思い通りに行かないことも多いですが、
いろいろな経験が書き手として成長させてくれると信じて、
毎日心豊かに過ごしたいものですね。