中文熟考

中日翻訳者が綴る日々の記録

NGKでダウンタウンを見た日のこと

週末に神戸→大阪→京都を走り回ってきました。

目指したのは吉本興業110周年記念公演「伝説の一日」千秋楽3回目、

ダウンタウンNGKの舞台に立つってよ!とざわついてたやつです。

お金もないし、子供置いて大阪なんて行けないし…と思って

チケットを買おうともしなかった怠惰な私なのに!

恐ろしくクジ運のいい妹から2枚当選したと連絡があったのが3月末。

義弟、いや神が「子供見てるから行ってこい」と言ってくれて…。

ありえないほど妹夫婦に恵まれた私は、気づいたらNGKの観客席にいて、

固唾をのんでダウンタウンの登場を待っていたのでした。

ダウンタウンは何をやるんだろう?

もちろんダウンタウンは大トリでした。

そこまでに登場した芸人さんたちは相当な気合で、

会場が揺れるほど爆笑を取っていたので、

だんだんと、ダウンタウン何やるんだろう…と不安になってきました。

こっちは小学生の頃からダウンタウンのファンですが、

最近は司会とかチェアマンとか、オリンピック選手に家電買う仕事しか見ていないわけです。

本当に2人きりでサンパチマイクの前に立つのだろうか。

それで二丁拳銃より面白くなかったらどうしよう。

いや、二丁拳銃がダメだったんじゃなくて、面白かったからこその不安です。

私は子供の頃からダウンタウンを見ています。小6の時、友達が家のビデオで「夢で逢えたら」を

見せてくれました。あの時の衝撃は今でも忘れられません。

最初は2時間のスペシャル番組だった「ダウンタウンのごっつええ感じ」は

ビデオテープが伸び切ってしまうほど何度も見ました。

松ちゃんが「さむぅ」と言いながらジャージの中にすっぽり収まる姿に爆笑し、驚愕しました。

たとえ今は雲の上のような存在でも、子供の頃に笑わせてくれた人は友人のような存在なのです。

他の芸人からはダウンタウンを見に来た客を笑わせようという、ピリピリした空気さえ感じました。

後輩とゲームとか、歌ったりとかでお茶を濁せる雰囲気ではないのです。

大丈夫か、大丈夫かダウンタウン。大丈夫なんだよね、松ちゃん、浜ちゃん!

2人の魅力と才能を思い出す

EPOの「DOWNTOWN」がかかって、昭和風味のスポットライトの中に

ダウンタウンの2人が出てきました。浜ちゃんが先です。

「小さっ!」

中学の時、最初に観覧でダウンタウンを見た時と同じ感想でした。

そのあと喋り出した2人に夢中になったのも同じでした。

劇場で見て改めて思ったのですが、2人は声がいいのです。

もともと面白いことを言いそうな、人を引きつける声なのです。

そして松本ワールド全開のやり取りを聞きながら、

そうそう、そうだったそうだった、と30年来のファンは思い出したのです。

松ちゃんの言葉選びのセンス、シュールとベタのバランスが絶妙で、

キレたり引いたり泣きを入れたりしながらそのボケを受け取り、

見ている我々に松ちゃんの面白さを伝えるのが浜ちゃん。

そうだったそうだった。心配して損した。

ダウンタウンは相変わらずただの天才で、

ちょっと本気出したら30分笑わせ続けることなど容易だったのです。

舞台に立つ芸人が一番カッコいい説

京都のホテルに向かう間ずっと考えていたのが、

舞台に立っているダウンタウンは楽しそうだったなぁということでした。

最近は「平場での返し」という言葉を素人の私が知っているくらい

お笑いも分析され尽くして、芸人さんにも多種多様なタイプがいるけれど、

やっぱり目の前の客を笑わせることが、芸人という仕事の原点なのだなぁと。

30年ぶりにNGKの舞台に立って、まったく衰えない才能を見せるのもカッコいいけど、

4時ですよーだの頃からずっと舞台に立ってるまるむし商店とか、

炎上しまくりつつ毎月事務所ライブで漫才やってる爆笑問題とか、

ずっと目の前の客を笑わせてる中年男性も、それはそれでカッコいいのです。

吉本は続くよどこまでも

涙流して笑い続けて、翌日は筋肉痛でした。

新幹線の時間まで京都の街をブラブラしていたら、

祇園花月の割引券を配っている芸人さんがいました。

吉本興業の貪欲さに怖くなりました。

いかつくて大きい人で、いろいろ怖かったけど笑顔で割引券を受け取りました。

この人も私を笑わせようとしているのだ。

そう思うと頭が下がる思いでした。