台湾では初のメジャーリーガーで国民的ヒーローだった陳金鋒という選手が引退を表明しました。シーズン当初から「今季限りで辞めます」と宣言していたので、台湾の野球ファンは、「この一瞬一瞬を目に焼き付けよう」という思いで今シーズンの陳選手を見ていたはずです。辞めると宣言することで、注目する人が増えるのも事実です。
我らが番長、三浦大輔投手の引退は寝耳に水の出来事でした。ヤフーニュースを開いて「DeNA三浦大輔、引退表明」という文字を見た瞬間、横浜ファンの「嘘だろ!?」という声が聞こえたような気がしました。引退会見の中継を見ていても、なんだか実感が湧かない。横浜に背番号18がいることは、あまりにも当然のことだったからです。
人間というのは愚かなもので、いつもの光景がそうでなくなる時、初めてその大切さに気づくことがある。でも我らが番長について思うのは、ちょうど反対のことなんです。
「9回を投げ抜くためには1イニング1イニング、もっと細かくしたら1アウト1アウト、最終的には1球1球っていうことですよね」
速球派でもなく、代名詞となる変化球があったわけでもない。選手生活を支えた抜群のコントロールの影に、1球1球手を抜かない不断の努力があったことを、横浜ファンは知っています。Bクラスが定位置のチーム状況にも腐らず、150勝した番長が教えてくれたのは、いつもの光景を、目の前の一瞬一瞬を、懸命に生きろということです。
だからこそ私は引退、引退と騒がず、いつもの通りに番長を応援しようと思うのです。最後の1球まで、きっと全力で投げてくれると思うから。そして願います。その1球が石田に、今永に、ヤスアキに粛々と受け継がれていくように。
偉大な投手でした。いつも励まされました。ありがとう番長。でもまだ終わってないぜ!